学生募集
研究室の概要
本研究室は機械系が主担当、融合理工学系が副担当となっています。3・4年生の特定課題研究では機械系の学生を受け入れ可能です。大学院(修士課程・博士後期課程)では機械系機械コース、機械系原子核工学コース、融合理工学系地球環境共創コースのいずれかを志望すれば受け入れ可能です。本研究室はゼロカーボンエネルギー研究所(ZC研)(大岡山北1号館)にあります。見学は通年随時受け入れています。コンタクトは左の「アクセス」の連絡先までお願いします。
私たちは2022年4月にZC研のフューチャーエネルギー部門に設置された研究室です。
本研究室の理念と目的
気候変動問題を含む環境・エネルギー問題は将来の人類の存亡に影響するものであり、国際社会と社会の各セクターが連携して解決すべき地球規模の課題です。科学技術のセクターでは、実効的で社会に普及可能な(すなわち、事業化が可能な)エネルギー有効利用技術、二酸化炭素(CO2)の低コスト・高効率な分離回収技術、汚染物質や希少物質の分離技術の開発が特に重要です。本研究室は大学に特有な高い自由度とリスクと取れる立場とを活かし、その立場に伴う社会的使命と社会からの期待を認識し、これらの課題解決に資する新しい環境・エネルギー技術の創出に挑戦しています。私たちは、既存概念に捉われず、創出した材料や技術の社会実装を目指しながら、人類の安寧と社会の改善に資するための研究開発を行っています。
本研究室は「科学技術の未踏域開拓を通じて人類の安寧と社会の改善に貢献するとともに、優れたビジョンと能力をもつ人材を育成すること」を理念とし、人類と社会に大きな貢献をなすことを目的としています。
本研究室は学士・修士・博士課程で学生を募集しています。これまでの専門や出身学科は問いません。現在他大学の学部生(高専の専攻科含む)や修士課程学生の方々、社会人博士を検討される方々にも門戸を開いています。研究室見学は通年、随時受け入れています。興味を持たれたらまず村上(murakami.y.af@m.titech.ac.jp)にコンタクトして下さい。
研究テーマ
実験を主とし、状況に応じて計算(量子化学計算、熱流体計算など)も使用しています。本研究室への進学にあたっては、皆さんがこれまで学んだ科目や現在の専門と違うことは心配されなくて大丈夫です。本研究室は研究室内のコミュニケーションがしっかりしています。新たに入った人には、適切なペースで成長できるように各段階で読むべき教科書や論文、技術習得等を助言しています。現在、以下の研究テーマから選べます。
- 超低エネルギー消費、高性能、高耐久な新世代のCO2固体吸収材料の開発と社会実装追求
- ニュースリリース「卓越したCO2分離回収性能を持つ新型多孔材を開発」
- GTIE起業家支援プログラム(エクスプロールコース)リリース「2.5次元COFを用いた新世代CO₂分離回収材の概念実証及び新規用途開拓」
- 産業界と連携して社会実装を目指している。材料開発、システム開発の両方を行っている。COFという新しい材料プラットフォームを用いている。
- 科学研究費補助金(科研費)ページ
- 超高イオン伝導を実現する新世代の固体電解質の開発(新型全固体電池)
- 産業界と連携しながら社会実装を目指している。COFという新しい材料プラットフォームを用いている。
- 最近、膜化に成功し、Liイオン伝導度計測に着手している(未発表)。
- より高性能なCOFの材料開発、特性計測を行う。今後はセル組、電池実証に進む。
- 科学研究費補助金(科研費)ページ
- 未利用熱からの液体発電技術の開発と社会実装追求(フロー熱電発電、熱化学電池)
- ニュースリリース「世の中で広く用いられる強制対流冷却において『物体を冷やしながら発電する』新技術を創出」
- ニュースリリース「発電ができる新世代冷却技術「レドックス・フロー熱電発電」の実用性を初めて証明」
- ニュースリリース「熱化学電池の蘊奥を開く:熱を電気に変える液体技術の予測設計に道」
- この数年、液体熱電変換が世界的にhot topic areaになってきている。液体を用いた未利用熱発電は、それ自体と熱輸送や液冷とを組み合わせることが可能なため、大きな学際フロンティアが広がる。
- 産業界と連携しながら、スケールアップした発電セルの開発と社会実装を目指している。
- 環境汚染物質・有害分子(PFAS等)を高効率に除去する革新的なフィルター材料の創出
- 最近開始した新テーマ。COFを膜化してこの目的を達成する
- 産業界との連携を始め、社会実装を目指す。
これらの詳細は研究概要を見て下さい。
研究室の雰囲気、方針、ユニークさ
本研究室はメンバー間のコミュニケーションがよくとれ、創造的な活気があり、研究設備と実験環境が充実しています。学生室と実験室は緑が丘駅近くにあり、清潔で良好な状態に保たれています。メンバーの皆さんは後輩の面倒見がいい様子です。
本研究室では各学生が自分の研究テーマをもって取り組みます。方針として、皆さんの課題解決意識と主体的行動能力を伸ばすこと、有用な科学技術スキル(実験、計測、材料評価、計算等)、目標設定の仕方、物事(研究や産学連携プロジェクト)の進め方、プレゼンススキル(人への伝え方)などを修得して頂くこと、を意識しています。
本研究室のユニークさは、本気で社会実装を目指している点にあります。そして、それができると思っている点にあります。研究テーマ設定の段階でよく考え、何の社会課題を解決したいのかを明確にし、それが社会実装された際のインパクトをイメージした上で研究を開始し、そのビジョンを時々チェックしながら進めてゆくことが重要です。研究途中で当初の期待に満たない状況にはよく遭遇しますが、その際の進路修正も、問題を直視してそれに正面から取り組めば、より有利なアイデアが生まれ、予期しなかったブレークスルーが生まれるきっかけになります。 見方を変えると、ミクロ・分子スケールとその集合体に「ズーム・イン」した基礎科学の方法論と、その技術がスケールアップされ、実装された先の社会や産業に与えるインパクトを予め考えておく「ズーム・アウト」のビジョンの両方を持つことが重要です。つまり、本研究室のユニークさは、研究テーマ設定から社会実装まで、ミクロな基礎学理からマクロな社会インパクトまでを通貫する研究マインドとビジョンを持っている点にあります。私たちは多くの企業と共同研究を行っており、解決したい課題から設定された研究による新技術の創出、そしてその社会実装の追求に取り組んでいます。
学会発表、ゼミ発表
当研究室は積極的に学会発表を行っています。成果が出れば国内・国際会議での学会発表が可能です。また、自身が筆頭著者となって学術論文に発表することも可能です。論文執筆の指導は論文執筆経験が豊富な村上が行います。このような経験を通じて、将来重要となるプレゼンスキルと文章作成スキルを伸ばすことができます。
進捗発表とディスカッションを行う全体ゼミは毎週金曜の午後にあります。全体を2グループに分けて2週間おきに進捗を発表します。このゼミを通じて他者の発表を聞くことができ、新しい知識と考え方の獲得、プレゼン能力の涵養が行えます。